梅干しを漬ける人々 その6 ~くみさんの場合

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福岡市南区の住宅街にお住まいのくみさん。お仕事をしながらも時には料理の先生となり、3人の男の子を育てるお母さんでもあります。庭にはトマトやナス、キュウリなど季節の野菜が実る家庭菜園、ご主人が自作したという石釜もあります。石釜ではピザを焼いたりもするのだそうです。

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―梅はどんな感じで作ってるんですか?

 

以前は大量に漬けていたこともあるんですが、今は平日働いてるし、家で食べる分しか作らないので、無理のない範囲で1キロずつ、2キロずつをチョコチョコ作っています。できそうだな、と思う時にパッと買いに行く。いっぺんに何十キロっていうとイヤになっちゃったりするので、シーズン中は毎週末に買いに行って、その時の気分で今日は3キロいけるかなというときは3キロ買うし、今日は1キロだなって時は1キロで。

 

梅がちょっと青かったら、水に漬けてますね。半日くらい漬けて、ザルに揚げて、自然に水が切れるようにして。しばらく置いて、それから漬け始めるんです。15パーセントの減塩なので、塩だけだとカビが生える時もあるので、焼酎を1キロにつき50ccくらい入れてますかね。焼酎をからめてから塩を入れて、重しをして置いてます。重しは普段使わないダンベル(笑)シソは「木の花ガルデン」で買ってくるもみしそを使います。シソの作業は結構大変ですよね。これはうちのおばあちゃんのアイデアなんですけど、大量にある時はシソの葉を摘んでから洗うんです。それから木綿というかガーゼの絞り袋みたいなのを作って、洗濯機の脱水モードにかけるときれいに水が切れるんですよ。

 

だいたいうちは大きなタッパーで漬けてます。玄関のほうに漬けてる状態のがあるんですよ。ほら、この小さな棚の中にあるでしょ。こんな風に自家製の梅干しや味噌が家の中のあちこちに隠れているんです。

 

うちはみんなが食べるんで、はけも早いし、塩が濃いと下の子たちが塩辛いみたいで。だから15パーセントで作っていて、このくらいで作るとちょっとフルーティな感じが残る。冷蔵庫に入れなくても大丈夫みたい。まあうちはそんな長い間保存しないから。前に13パーセントで作った時は冷蔵庫に入れなかったらカビが生えたから、15パーセントがギリギリかも。

 

土用干しはそんなにしっかり干してないんです。3日間干さなくても意外といけるんですよね。丸1日干して翌朝取り込んで、というやり方です。ね、大丈夫でしょう? うちはそんなに大きな梅を使わないし。もっと大きいと難しいかもだけど。

 

梅は七折っていう種類を使っています。普通のよりもちょっと小さくって、大きさ的にお弁当にはこれがいいみたい。歯応えはすごいフワフワになります。七折ってちょっと高いんですよね。この梅だからこういうフワフワになるのかもしれないですけど。お店で見たら、やっぱりこんな感じでしたね。このフワフワ感と皮の薄さ、食感が大事ですね。

 

塩はあんまりこだわってない。何入れたっけ? 産直のお店みたいなところに行って、あったら買うんですけど、これは昨日F-コープに行ったらあったので。自分の中で決めているのは、梅干しには天然の粗塩っていうくくりだけですね。

 

友達が、梅干しには良い塩がいいって聞いて、高いのがいいんだって思い込んでゲランドの塩(注:フランス産の海塩)を使ったら、なんか違っておいしくなかったって(笑)日本の梅にはやっぱり日本の塩がいいんだなってそれを聞いて思った。

 

―梅はどこで手に入れてるんですか?

 

梅は、私はいっつも木の花ガルデン(注:梅の産地として名高い大分県大山町の農産物を販売しているショップ。レストランも併設)で買ってるんです。安いのよね。お店の人は「そんなに農薬はそんなにしてないと思いますよ」とは言ってました。なりっぱなしみたいな感じなんだろうなと。

 

梅の時期は午前中が勝負なんですよ。お店が10時オープンで、日曜は土曜に売れちゃうからあんまり残ってなくて、だから土曜日の朝が勝負。この時期はどんなに忙しくても、天気が悪くても梅作んなきゃって思って。他の人に言うと「やめとき」とか言われるんだけど、この時期しかないし、今作らなかったら1年間ないんですよ。豆と栗と梅は時期を逃したくないんですよ。だから、この時期は狂ったように梅を作っていて、それが終わると今度は栗なんですけどね。渋皮煮にして、冷凍しといて、お正月の時期になったら、きんとんの上に乗っけてるんです。

 

梅のちょっと前の時期は豆なんですよ。エンドウとかモロッコインゲンとか。豆も結構足が速いじゃないですか。豆の時期になったら、豆ばっかり買いに行って。豆が終わったら梅を買いに行って。栗が終わったら、渋柿買って干し柿作って、次は大根買いにいって大根干して。「あんた忙しいんだからやめりーよ」って言われるんですけど、やめられない。その時期だけだから。四季のある国の人に生まれたからですね、やっぱり四季はありがたいですね。雷雨の中でも行きますよね。車を運転してて前が見えなくても、やっぱりそんな日でもいるんですよ。もう腰が曲がったおばあちゃんが開店前に待ってるんですよ。で、オープンと同時にワーッと梅のところに行って買ってるの。この時期の木の花ガルデンやぶどう畑は面白いですよ。ぶどう畑というのは、このあたりの自然派の奥さん方がよく行くお店ですね。普段見ないような面白いお野菜が売ってるんですよ。それで「これどうやって使うのかしら」なんてつぶやいたら、四方八方からおばちゃんたちが「それはね、こうして食べるといいとよ」、「ウチはこうやってる」って。もちろん全然知らないお客さんたちですけど(笑)

 

―みんなアツいですね(笑)

ところで梅や梅酢も使いますか?

 

白梅酢(シソを入れる前の透明な梅酢)は効くんですよ。赤よりも効きますね。夏とか子供がおなか痛いみたいなときにおちょこ一杯くらい飲ませるとよく効きますね。それで白梅酢は常備しています。

 

赤梅酢はスプレーボトルに入れて、出来上がったお弁当に高いところからシュッシュとします。ポイントは高いところからすることですね。近くからすると全部梅酢の味になっちゃうので。

 

ゆかりも作ってます。シソは夏の暑いときにバリっとなるまで乾かして、フードプロセッサーにかけて、白ごまを混ぜて置いてます。ご飯にかけたり、きゅうりとかにはそのままふりかけるとおいしいですよ。大根に入れて浅漬け風にしたりとか。

 

あとは梅干しを野菜に和えたりしてちょこちょこ使いますね。果肉を使って余った梅の種はとっておいて、梅ひじき煮に使ったりしています。私、幼稚園などで食育の講演会をすることもあるんですけれど、そんな時にこのお話をしたら、自家製の練り梅を作ってらっしゃる方が「今まで種は捨ててました、次からやってみます」って言ってくださって。

 

―カリカリ梅も作っているんですよね?

 

カリカリはね、余った梅酢に漬けてるだけなんですよ。時間がたつとあんまりカリカリじゃなくなるんですけど。青い小梅を買ってきて、前の年の梅酢に漬けてるだけ。一番簡単で子供も一番好きなんでよね。ただ、とにかく出たばかりの青くてカタイのを買ってこないとですね。

 

―梅干し以外にも梅で色々作ってるんですよね。

 

はい、梅ジュースは作ってます。青梅1キロに対して白砂糖1キロ、きび砂糖だったら800グラムにして、酢は1/2カップ。ちょっと酢を入れるだけで発酵しないし、腐敗とかの心配もないし、味も酢の感じはしないです。2ヶ月くらいで実は取り出すのだけど、家族みんなが好きだから、飲むスピードが結構速くて、そこまで持たないことも多いですね。

 

子供たちは部活で体を動かすけど、市販のスポーツドリンクがあまり好きではないので、梅ジュースを持たせています。甘さがあっさりしていて飲みやすいみたい。梅ジュースは薄めないでそのままカキ氷にかけてもおいしいですよ。凍らせてグラニテにしてもいいし。その時はジュースにした梅の実を刻んで混ぜたりしたりします。

 

シソジュースも作っていて、私は葉っぱをお酢で煮るんです。500ccのお酢にシソ2束くらい、葉だけちぎったのを入れて、軽く煮立ったら、弱火で1~2分煮出すんです。キレイな色が出てくるんで、1回漉して、それからお砂糖400グラムを入れるんです。炭酸水で割って飲むとおいしいですよ。遠目で見るとスパークリングワインみたいなの。

 

―梅干し作り教室などもしていたんですよね?

 

昔、ジップロックで1キロくらい作る教室をやったこともあります。2キロくらいは入るから、そのまま置いとくと重しもいらないし、梅酢もよく出るからカビが生えづらい。失敗しづらいですね。シソも1束くらいでいいから楽だし。

 

味噌もジップロックで作れるんですよ。麹の量を多くして、1ヶ月くらいでできるんですよ。うちで味噌作り教室をして、皆で同じように何十キロって作るんです。それを皆で分けて持ち帰って、しばらくたってから持ち寄り味見会をするんですね。そうすると同じように作ってるのに、それぞれ味が違うんですよ。おうちの温度や湿度、常在菌などが違うんでしょうね。誰もが「うちの味噌が一番かわいい」みたいに言ってて、手前味噌ですね。同じものを同じように作っても味が違うってのが面白いですね。

 

私は梅干しも味噌も合わせ調味料も、なんでも手作りしてますね。「いつそういうことをやっているの?どうやって時間を作っているの?」ってよく聞かれます(笑)毎日バタバタと過ぎていきますね。

 

【くみさんちの梅干し】

七折という種類の梅なので、食べやすい小さめサイズです。皮も薄く実もフワッフワ。赤く均一な色に染まっているのが見事です。

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【くみさんちの梅干し作りメモ】

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分量)

梅1キロ

塩150グラム

焼酎50cc

シソは、塩もみされて販売している「もみしそ」を購入

 

作り方)

1)梅を洗って水に漬ける。熟していれば1時間くらい、青ければ半日くらい漬ける。

 

2)ザルに上げて、そのまましばらく置く。

 

3)梅に焼酎をまぶしてから塩をふりかける。袋に入れたダンベルを重しとして利用。

 

4)1ヶ月ほどして梅酢が出てきたら、もみしそを投入する。

 

5)梅雨明けしたら土用干し。朝から翌朝まで干して、出来上がり。

 

※小梅の場合も塩分は同じ15パーセント。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERAご家族みんなが大好きだというシソジュース。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA梅ジュース。果実酒のビンがキッチンのあちこちに。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAカリカリ小梅。お茶請けにもぴったりです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA庭の石釜。その裏手には家庭菜園があります。