梅干しを作る人々 その3~ミユキさんの場合


 

ミユキさんは食を大切に暮らすヨギーニ。今はヨガが楽しくてしょうがないとニコニコと話してくれます。

 

じゃあ、梅のことを…と話を切り出したら、おもむろに梅ノートが出てきました。ノートには、丁寧な文字でびっしりと梅干しのことが書かれています。

 

―いつから梅干し作りを始めたんですか?

 

梅干し作りは5年前から始めました。本当はずっと作りたかったんですよ。でも、周りに作ってる人はいないし、きっかけがなくって。

 

それが結婚してみたら主人の実家の庭に梅の木があって、昔から作っていたんです。お義父さんがずっと梅干しを作っていて、お義父さんに教えられてお義妹さんも作っている。だから結婚後に教えてもらいました。お義父さんは昔ながらの方法で作っているんですけど、お義妹さんはジップロックを使って作っているので、私はその方法を教えてもらいました。近くに作っている人がいるのは心強いですね。何かあったら聞けばいいって思うから。

 

梅干し作りを始めるには、やっぱり誰かが梅干しを作っているのを見ることって大事ですね。子供の頃に見たことがあるとかでもいいんだけれど。見たことがないと作れないって思い込んじゃうけど、一度でも見たことがあると、自分にもできるかもって思えて、梅干し作りのハードルが下がる気がします。

 

―昔から梅干しを作りたかったんですね。

 

そう、私は梅干しを漬けるお嫁さんになりたかったんですよ。“昔の嫁”像みたいなのが自分の中にあった。結婚したら、できるようになりたいということがいくつかあったのだけれど、そのうちのひとつが梅干しを漬けること。丁寧に作ることをしたいという感じ。作るのが好きなんです。

 

―作った梅干しは毎日食べる?

 

うーん、そんなに食べないかな。実は私は梅干しは食べるのはそれほど好きではないんですよ(笑)主人は梅干しが好きなんですけど。でも、体にいいことは知ってるので、サプリメント感覚で食べてる部分はあるかも。体にいいと思うと、苦いものでも何でも食べれちゃうほうで、頭で食べてる感じかな。お茶と一緒にかじることが多くて、普段の食事ではあまり食べないです。でも、おにぎりには入れますね。でかけた時に、パッと食べれるようにおにぎりを持って外出することが多いんです。やっぱり結構食べてはいるかな。

 

毎年10キロくらい作ってます。マクロ(=マクロビオティック)では年数を重ねたものがよいと言われていて、3年目くらいから薬効が高まってくるとされているんです。だから作ってから3年くらいたったものを食べたいんですよ。でも、家で食べたり、人にあげちゃったりして、なかなか3年は残らないですね。

 

でも、梅干し作りは本当に楽しいですねえ。香りもいいし、変化していくのが面白いし、梅が愛おしくてしょうがない。もう毎日梅に話しかけてる。『今日はどんな感じ?』みたいに(笑)

 

―すごいわかります(笑)

ところで、

マクロビオティックはずっとやっているの?

 

マクロも5年くらい前からです。その前に、お肉を食べるのをやめたんです。それまで当たり前にお肉を食べていたんですけど、知り合いにベジタリアンがいて、動物の飼育状況や環境負担、身体に受ける影響のことなどを知るようになって、これは食べるのをやめようとベジタリアンになりました。

 

最初はローフードを試していたけれども、あんまり体に合わないなあと思っていた時に、近くの公民館でマクロの料理教室を見つけて習い始めたのが最初です。それからマクロに興味を持って勉強していた時期もあったけれど、今はマクロは実践しているというほどではなく、時折参考にしている感覚かな。

 

―なるほど。お料理に梅は使いますか?

 

梅酢はお料理に結構使います。昨日は、白菜を塩麹でもんで、梅酢とゆずの皮を入れたらおいしかった。ほかには、炒め物、酢の物、ドレッシングなどに入れますね。あとは刻んだニラと醤油とゴマ油と梅酢を入れたニラソースがすっごいおいしいんですよ。餃子や冷奴によく合います。日持ちもするし、一時期ハマって何にでもかけてたら飽きちゃって、最近作ってないんだけど(笑)

 

そういえば、梅干しに梅酢が入ってると気持ち悪いって人もいますねえ。お料理に使うとすごくおいしいよとは話しているけど。

 

―塩分濃度はどのくらい?

 

塩分濃度は14~15パーセントですね。最初は20パーセントで作ったのだけど、しょっぱくて、減らしたくて、もともとしょっぱいのも苦手なんです。それで色々調べていたら、一度は減塩で作ってみても、結局はみんな20パーセントに戻る、というようなことを読んで、減塩にこだわる必要もないんだーって思って。10パーセントで作ってる友達もいるんだけど、冷蔵庫で入れないとだって言うし、できれば常温で保存したいなあって、それで、しょっぱすぎず、失敗しないギリギリの塩加減かなあと思ってて今は14~15パーセントに落ち着いてます。

 

―梅干し作りで困っていることはある?

 

追熟(注:梅が青い場合、黄色く熟すまで室内などに置いておくこと)が難しい。うまく行く年と行かない年がある。なかなかまんべんなく黄色くならないんです。風通しがいい日の当たらない場所がいいという話もよく聞くけれども、風通しが良過ぎると、水分が抜けて皮がシワシワになっちゃったりする。お盆などに広げたほうがいいかなとか、段ボールのままにがいいいかなとか、毎年、試行錯誤しながらやってます。でもカビとかの失敗はないですよ。

 

一度、梅干しが柔らかくならなくて、カリカリ梅になっちゃった時があって、この時はシソの色づきも悪かった。でも理由がわからないのよね。これはこれでおいしいかって食べてたら、時間がたったらだんだん柔らかくなってきた(笑)

 

皮が柔らかくて、ざるにひっついて、ひっくり返すのが大変なこともよくある。ざるをそのまま地面に置いているから、通気性の問題かも。

 

すごくおいしい梅干しが作れないんです(笑)難しいですね。初めて作った梅干しがすごくおいしかったんですよ。伊万里の梅を使ったのが良かったのか、熟し加減も塩加減もよくて、主人も『これおいしいねえ』って言って、すぐに食べきっちゃったんですけど、今もそれを超えられないですね。

 

あと、シソが余るんですよねえ。皆さんどうしてるのかしら?

 

【ミユキさんちの梅干し】

大きいのが2010年、赤いのが2011年、茶色くて小さめなのが2012年に作ったもの。古いものは塩がこなれててまろやかだし、新しいものはフレッシュな味わいが残っていて、それぞれにおいしい。どれも酸味が強くてエネルギッシュです。

 DSC_2013

 

 

【ミユキさんちの梅干しの作り方メモ】

 

分量)

梅1キロに対して塩140~150グラム、焼酎適量、シソ100グラム

 

梅)

できるだけ無農薬のものを選びます。去年は和歌山のエコファーマーのアートフルーツ農園というところで購入しました。有機栽培に移行している農家さんです。

 

塩)

「その年によって色々でブレンドしています。いい塩を使いたいんだけど、全部いい塩で揃えると高いし。1~2キロずつ袋で漬けるので、最初のほうはいい塩で、最後のほうは足りなくなってきたので、これ入れちゃえとか、そういう感じ。最終的にはひとつにまとめるから、ブレンドということで。厳密に言えばそう単純ではないんでしょうけど、私の中ではまあいっかという感じです(笑)」

 

2010年:最進の塩、伯方の塩をブレンド

2011年:玖美の塩、海の精をブレンド

2012年:美味海、なずなの塩、玖美の塩をブレンド

 

シソ)

梅の分量の1割が目安。主にネットで購入。「自然堂というネットショップにてもみしそを買っています。いい色も香りもいいんですよ。足りなかったらスーパーで買ってます」

 

作り方)

 

1)梅が黄色くなるまで室内で追熟。

 

2)梅のヘタを取ってから、水洗い。布巾を使って、ゴシゴシこすり洗いをしてから水気を拭く。アク抜きはしない。

 

3)ジップロックに梅を1~2キロずつ入れ、焼酎、塩の順で入れる。

 

4)1ヶ月ほどしたら、野田琺瑯の入れ物に2つに分けて入れて、もみしそを追加。

 

5)土用干し。ザルに広げて、まずは昼(8:30~15:00頃が目安)に3日連続で干す。夕方には梅酢に戻す。昼干しが終わったら、その後に夜だけ3日干す。夜寝る前に外に出して、朝に取り込みます。マンションのベランダの日当たりが悪いため、昼間に干す時は知人のビルの屋上で干させてもらっているんです。夜干しはマンションのベランダです。

土用干しが終わったら、梅と梅酢は分けて保存しています。

 

3日間ザルに出しっぱなしの時もあれば、梅酢に戻す時もあって、気分で変えてます。

 

【2013年3月取材】

追記)

上手に出来たから、と取材後に持ってきてくれた2013年の梅干し。

ふっくらとした果肉、すっきりとした酸味がやみつきになります。年々おいしくなっているみたい!

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