2014/07/08
梅干しを漬ける人々~古瀬秀泰さんの場合~
今回お話を伺ったのは古瀬秀泰(ふるせ ひでやす)さん。NPOや社会起業家に低金利で融資する「もやいバンク福岡」の活動を行っています。ご家族全員が福岡を中心に様々な社会活動を行っているため、地元では「古瀬パパ」の愛称で親しまれています。
-初めて梅干しを作られたとか。
はい、初めて作りました。63歳で初梅干しです。姪から梅をもらったんですよ。八女(福岡県八女市。農業が盛んな地域で茶、果物、梅などが特産品)あたりのお友達からもらったらしいんですけれど。それで、なんか作ろうかなと思って。
これで全部です。20粒くらいかな、そんなにないかもしれないです。
梅酒は5年くらい前に作ったこともあったけれど、飲まなかったから、じゃあ梅干しに挑戦してみようと思って。梅干しは機会があったらやってみたいと思っていたんです。
もらった梅は、熟した梅と青梅が両方混ざっていました。大きさも色々あって粒がちっちゃいのは青かった。大きいのは熟してたかな。本を読んだら熟してからがいいと書いてあったんで全部をザルに広げておいたんですよ。でも置き過ぎましたね。1週間くらい置いたんです。青梅も熟してはきたんだけど、シミがいっぱいでてきちゃて。もともと熟していたのはわりと大丈夫だったんですけど。結局、残ったキレイな20粒くらいを漬けることにしました。
youtubeで検索してみたら、ジップロックで漬けるっていうのを見たんですよ。家に壺もあったんですけど、少ないですし、壺は最初はハードルが高いかなと思いました。ちょうど梅全部がジップロックの小さいサイズの袋に入るくらいだったから、簡単そうだし、これでやってみようと思って。これだったら失敗してもいいや、ぐらいな感じです。youtubeの映像ではジップロックをいくつも用意して、たくさん作ってたんですよね。すごいわかりやすかった。後でまた映像を探したけれど、もう見つからなかったな。
やってみたら簡単でした。梅を水で洗って、ヘタ取って、梅と塩をジップロックに入れて。丁寧にやったから、時間は結構かかったかな。ジップロックは二重にして、その下に漏れてもいいようにバットみたいなのを敷きました。
塩は粗塩みたいな、家でいつも使ってるもの。塩はどのくらいで入れたかな、うーん、忘れちゃったなあ。梅と同量。あれ、そんな多くないかな。NHK「きょうの料理」の本を見て作ったんだけど、18パーセントくらいかなあ。
漬けてから毎朝見てました。梅酢も出てきたから「ちゃんと出るんだ!」とびっくりした。塩で漬けただけなのにね。梅酢はすぐいっぱい出てきたので、別にとっておきました。
しばらくしてから、かなちゃん(娘さん)にシソを買ってきてもらって、シソも葉っぱだけちぎって、塩でもんで、それを一緒に入れて、別にとっておいた梅酢をまた入れて。シソはひと束の半分くらいを使ったかな。残りのシソはかなちゃんがシソジュース作ったね。
それからしばらくして、ザルに広げて干しました。干したのは家の中です。雨の心配もないし。台所のカウンターにちょうど日が入るところがあるんですよ。朝日も入ってちょうどいいかなと思って。量もわずかだからね、梅干しの間隔もゆったり取れました。エアコンも使わない場所でしたね。
それでね、ザルに梅干しを直接乗せると皮がはがれるって本で見て、ケーキとか作るクッキングシートを敷いておけばいいですよって書いてあったので、敷いてやりました。1日1回はひっくり返して、どのくらい干したっけな、3日間くらいかなあ、置きっぱなしにしてました。干した後は梅酢に戻さずに別にして、梅だけビンに戻しました。
できあがったのが7月くらいで、それからずっとビンに入れたまま。最初に干し終わってすぐに1個だけ食べたんだけど、塩っ辛くて。最近、少しまた食べてみたら、酸っぱくなってました。梅干しの味になってましたね。
-梅干し作りは楽しかったみたいですね。
楽しかったですね(笑)できるかどうか半信半疑だったんだけど、ちゃんと梅酢も出てくるし、ちゃんと梅干しになってゆくんだなあと。
大変だって話を聞いてたんだけど、でも一度作ってみたかったんですよね。ちょっとだけだったし、楽でしたね。干してる時が一番楽しかった。だんだん梅干しらしくなってきて。干してる間は毎日見てました。
-来季も漬けますか?
はい、次は壺でやってみようと思っています。できれば自分で梅も摘んで作りたいです。塩も作ってみたいですね。シソも作りたい。今後の展望は、もう少し梅干しの量を増やしたいのと、梅ジュースとかもやってみたいですね。梅の収穫次第ですけどね。
-ところで梅干しは好きですか?
梅干しは毎日1個食べるんですよ。結構好きなんです。でも、今は買ってきたのを食べてます。農家さんが作ってるのとか自然食品のお店で買ったりしたものですね。
-男性で作られる人は珍しいですよね。作るのは好きですか?
そうですね。マーマレードも作ったことはあるんですよ。保存食品を作るのは楽しいけど、食べるのは後回しだなあ。でも、料理はできないんです(笑)
【古瀬パパの梅干し】
すでに塩を吹いている梅干しで酸っぱくて素朴。しみじみとしたおいしさと深い旨味のある梅干しでした。出来上がりはまだご家族も食べてないとのことで、その場で奥様、娘さんとともに、数も限られた貴重な梅干しを試食させてもらったのですが、ご家族も「おいしい!」、「何年モノとかみたいな味!置いたらもっとおいしくなりそう」と絶賛のおいしさでした。
【追記:2014年度の梅仕事】
初の梅干し作りだった2013年から1年たって、梅仕事がパワーアップした古瀬パパ。福岡県新宮町にあるじゃがいも村で梅の木のオーナーになり、梅の収穫を行い、その梅で梅仕事を行ったそうです。仕込んだのは、梅干し4キロに梅酒(贅沢に玄米焼酎使用)、梅シロップ。奥様にも好評だったというシロップにした梅は煮詰めてジャムに。シソジュースも作ったそうです。炭酸で割って、梅シロップを入れて飲むのがおいしいとのこと。さらにラッキョの甘酢漬けまで!!来年が楽しみです。(2014年7月)
2014年3月取材