2013/10/22

梅干しを漬ける人々~じゃがいも村わいわいクラブの場合~

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福岡県糟屋郡新宮町にある“じゃがいも村”。ここには、あめんぼの泳ぐ田んぼ、馬や鶏が遊ぶ草原、畑が広がっています。築200年の古民もあり、日本の田舎の良さが感じられる場所です。

 

じゃがいも村をフィールドとして、里山を守り、自然を楽しむことを目的に活動しているのが「わいわいクラブ」の面々。じゃがいも村で採れた梅で梅干し作りも行っています。この日はメンバーの4人の女性たちが集まり、お話を聞かせてくださいました。

 

―では早速作り方を教えてください。

 

江川)減塩で梅干しを作っています。塩分は10パーセント。1キロに対して、酢は1合。塩は伯方の塩が多いかな。粗塩ね。もともと梅干しを作ったこともなくて、みんな素人だし。メンバーの高木さんに作り方を教えてもらってやってるの。細かな点は試行錯誤よ。

 

でも結構緊張するわよね。販売するものだから、土用干しは雨に当てないように、とか結構神経使うわよ。量も多いしね。4人で18キロくらい漬けているけど、イベントで販売したり、古賀インター近くのコスモス広場ってお店で販売したりで、すぐなくなっちゃうわね。

 

高木)私は昔から親が作っていたのを見てたけれど、塩加減とかはわからなかったから、本で調べて。最初は塩分18パーセントで作って、15パーセント、10パーセントってどんどん減らしていきました。塩が少ないとカビが生えたりもするから、それを防ぐために梅1キロに酢1合を入れます。前は焼酎も入れていたけど、シソのきれいな色が出なくて、酢が一番いいって聞いてから酢を使っています。シソジュースでも酢を使うときれいな色が出るじゃない?

 

作り方は長年漬けている友達のおばあちゃんに教えてもらってね。80代のね。酢を使うのは、別にこのあたりの文化って訳でなくて、そこのご主人が血圧やら何やらで塩分減らしたという感じよ。酢が呼び水みたいなもので、梅酢も出やすくなるみたい。酢の香りも残らないわよ。

 

真崎)シソも採れたものがあれば入れて、足りなければ地元の農家の人が作っているシソを買ったりもするね。コスモス広場で自然栽培で作っているのをね。

 

江川)もう5年は作ってるかしらね。最初は土用干しをしない梅漬けだったけど、土用干しをちゃんとするようになってから、梅干しって感じの味になったわよね、色もキレイに出るようになったし。自己流だったら干してなかった。

 

梅の作業は手分けしてって感じよね。まあ言いだしっぺが困るよね。言ったらやらなきゃだからね。お鉢が回ってくるから。

 

真崎)こちらは仕事も辞めてサンデー毎日だから、危険危険(笑)

 

作業はみんなで一緒にここ(じゃがいも村)で漬け込みとシソ漬けの作業をして、土用干しはそれぞれ持ち帰って、家でやっているのよ。夜は雨降ったら怖いしねえ。土用干しはひとり1ビンずつ持ち帰るの。

 

干しっぱなしで夜は10時くらいまでかな。人によって、きちんとな人もあいまいな人もいて。でも皆あいまいよね(笑)

大体3日干したら、水分は飛んで、破れないようになるわね。

 

江川)土用干しは、ザルかスダレだね。1日1回くらいひっくり返してるかな。私は大根干すときもすだれよ。雨が降ったら、そのままぐるぐるってして玄関に置いてまた次の日干したりしてね。梅はそういう訳にいかないけど。

 

干す場所はベランダ、庭とか、それぞれの状況で干していますね。干すと甘味が出るよう気がする。全然味が違うね。

 

―梅干しはお料理に使いますか?

 

高木)私は和え物にする感じかな。小松菜とか。

 

真崎)山芋を豚バラで巻くときに梅肉を入れたりする。

 

江川)梅とちりめんじゃこ、とろろでお吸い物。ひとり梅1個で、はい食べなさいって。種食べながら汁飲んでる。私が出かける時はおにぎりと朝のおかずの残りと、お椀にお吸い物用意しといて、夫にお湯入れて飲んでもらう。

 

高木)それは塩分取り過ぎになるじゃない、お父さん?

 

江川)砂糖取り過ぎよりいいじゃない?それに高木さんとこの梅干しはそんな塩分ないじゃない?

 

高木)まあねえ、うちは前は毎日食べよったけど、このごろは忘れとうみたい。

 

江川)ああ、うちも色々忘れるね。結婚生活が長くなるとチグハグになる。粗末じゃなくてね、かみあわない(笑)家でも外でもね。この頃すぐかーっとなるけん。

 

高木)気をつけなあいかんね。

 

―わいわい賑やかにされているようですが、梅干し作りは楽しいですか?

 

真崎)お金のためよ。資金作り(笑)

 

江川)「わいわいクラブ」の資金作りとして始めたことだから、梅干し作りを楽しいとかも考えたことなくて、梅がたくさんなるから作っているんだけれど。

 

地元じゃみんな安く売るから、あんまり高い値段つけられないのよね。ここの梅も無農薬、無化学肥料だけれど、このあたりじゃ珍しくもなんともない。自然に育っている梅があって当たり前で、そういう点での評価は受けないのよね。天神あたりじゃまた違うんだろうけどね。

 

梅干し作りは、うーん、追われてるって感じよね。梅を無駄にしないように漬けるので精一杯よ。私は失敗したらいかんってその思いだけよ。

 

このおいしい梅干しをみんなに提供したいって気持ちで作ったらまた変わってくるかもしれない。パッケージとかも変わるんじゃないと?

 

だけど、みんな一応添加物とかそういうのがないのを作りたいねっていうのはベースにあるからね。

 

青山)それでも楽しいことは楽しいですね。

 

江川)梅もご所望があれば分けるけど、アピールするほどは作ってないものね。そこまではなかなか手が回らないわね。

 

でもね、梅干し作りたいって人が集まるか集めるかして、それが広がっていけばいいなと思うんだけどね。

 

【じゃがいも村「わいわいクラブ」のメンバー】

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60~70代の元気いっぱいの女性たちです。笑い声とおしゃべりは  常に続き、まさに「わいわいクラブ」!この日集まってくださったメンバーは高木静代さん、青山直子さん、真崎財子さん、江川美佐子さん。

 【じゃがいも村「わいわいクラブ」の梅干し】

酢を使った減塩タイプ。すっきりとした酸味とまろやかな果肉の味わいが絶妙。酢の香りは全く気になりません。おいしくて食べ過ぎてしまいそう。

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【じゃがいも村「わいわいクラブ」の梅干しの作り方メモ】

 

分量)

梅1キロ

塩100グラム

酢1合

シソ1束程度

 

作り方)

1)梅を洗う。アク抜きとしてひと晩水に漬ける。

 

2)フキンなどで拭いてヘタを取る。

 

3)梅に塩と酢をまぶす。

 

5)1ヶ月ほど置いてから塩もみしたシソを入れる。塩はシソの重量の8~10パーセント。

 

6)梅雨明けしたら土用干し。

 

*容器は焼酎を使って消毒しておく。

 

じゃがいも村では農村の地域再生を目指し、子供たちのための里山ようちえんや貸農園、イベントなど様々な取り組みを行っています。梅の木のオーナー制度もあり、梅干研究所でもお世話になっています。粒も大きく、エネルギーあふれる梅がたくさん採れるのです。そして梅の収穫はとっても楽しい!

 

【2013年5月取材】