【事前説明】
最初のほうは、作り方そのものの説明ではないので、読まなくてもいーよ。
作り方から読みたい方は、スクロールして、文字がピンクに変わったところからお読みください。
このページは、多少は手間をかけてもいいから、おいしい梅干しを作りたい、という方向けです。
手間と言っても、実は大したことないです。
梅干研究所所長の感覚では、普通の食事作りよりだいぶ、かなり簡単、というイメージです。
ただ、ここのページは、少々説明が長いんですよ。
それを読むのがちょいと手間かも、と思って、最初に「多少は手間…」なんて書いてしまった。
なんというか、梅干し作りの流れ、工程をざっと知ってもらいたくって、長いのです。
知らなくたっていいんだけれど、
知っておくと、こういう目的の作業であれば、ここは省略とか、これは丁寧にやろう、とか選択がしやすくなって、自分好みの梅干しが作りやすくなるのあります。
そうすると、毎年作るたびに、どんどん自分好みに作り方がカスタマイズされて、
さらに自分好みになっていくという、素晴らしい循環が生まれるのですよ。
「これが一番の正解の梅干し」というものがある訳ではない、と私は考えています。
自分に合う味を作っていくことが、手作りする良さだと思うのです。
梅干し作りの作業自体、とっても楽しいから!ってのも大きいのだけれどね、梅の実ってかわいいし(笑)
時折「忙しくて土用干しとかできなそうだから梅干し作りはやらない!」っていう方がいらっしゃるのですが、
「それはもったいないーー!干さなくてもいいから作ってみて、まじでおいしいから」と声を大にして言いたいです。
梅の仕込みで20〜30分、別の日に、赤ジソの仕込みで1時間(これは省略可)、土用干しはいろんな方法があって、窓辺に容器のまま置いておくだけでも大丈夫。
そんな感じです。容器もジップロックでいいし!それで素晴らしくおいしい梅干しができるのだから、やらない手はない!!です。
ふーー、思わず熱くなってしまいました。
さて、ここから説明です。
梅干し作りの作業は季節に合わせて大きく3つの工程があります。
■ 6月
梅の塩漬けを行う
梅の量によりますが、1〜2kg程度なら、20〜30分もあればできる作業です。
■ 7月上旬~中旬
赤ジソを加える(赤ジソを入れずに仕上げてもOKです)
梅の量に応じて赤ジソの量が変わりますが、1〜2kg分の梅なら、1時間程度で終わる作業です。
■ 7月下旬以降
土用干し(やらなくてもいいけれど、やることでおいしさがアップします。
方法も色々あるのでできる範囲でやってみてください)
時間がない方なら窓辺に容器のまま置いとく、って方法もあります。
もし時間があれば、ざるに広げるのも半日やってみるだけで、すっごくおいしくなります。
*土用干し以降は、すぐに食べることもできるけれども、まだまだ塩気が強く感じられます。
半年くらいは寝かせたほうが、味がなじんでおいしい梅干しになります。
では、以下でそれぞれの工程のやり方を詳しくご紹介いたします。
■ 6月 梅の塩漬け
準備するもの
● 梅 1キロ
青いうちに漬けることもできますが、硬めで酸味の強い仕上がりになります。黄色く熟してから漬けたほうが柔らかくおいしいです。店頭で青いうちに購入した場合は、紙袋に入れて室内に置いて黄色くなるまで追熟させます。2~3日が目安。毎日様子を見てあげましょう。置き過ぎるとカビが生えたり、水分が抜けてカピカピになったりします。
*「梅干し用」と表示されたものを購入してください。
「梅シロップ・梅酒用」の梅はかなり青いうちに収穫するので、追熟しても黄色くなりません。
*「梅干し用」の梅で梅シロップや梅酒を作ることはできますよ。
このくらいの熟し加減がちょうどいいです。桃を思わせる、香りがしてきます。
左側が青梅、一番右がほぼ完熟状態。こんな感じでだんだんと黄色っぽく熟していきます。
大きく傷がついているもの、腐っているものは取り除きます。
● 塩 180g(塩分18%)
塩は、120g(12%)ぐらいまで減らすことができます。土用干し後、早めに食べたい場合は減塩のほうがいいです。長期保存、熟成したおいしさを楽しむなら180グラムがおすすめです(2〜3年経った時がとってもおいしい!)。
塩を減らすとカビが生える可能性が高くなるので、それを防ぐために焼酎(ホワイトリカー)少々加えることをおすすめしています。15%以下の場合は梅1kgあたり大さじ2くらいを加えておくと安心です。
塩は天日塩がおすすめです。
塩によっても味が変わってきます。色々試してみてください。
おすすめは「海の精」です。ちょっとお高いですが、とってもおいしくできあがり、特に熟成させた時のおいしさが格別です。
● 竹ぐし
梅のヘタを取るために使用。つまようじ等でもOK。
● ボウルやザル
梅を洗うときに使用します。梅仕事に使う道具はホウロウ、ガラス、プラスティック等をおすすめします。梅の酸は強いため、金物は避けたほうがいいです。が、洗う程度でサビたりすることは通常ありません。
● フキンかタオル
梅の水気を取るために使用します。洗濯済みの清潔なものをご用意ください。
キッチンペーパーでもOK。
● 漬ける容器
1〜2kgであればジップロックが便利です。1キロでジップロックLサイズがちょうどいいサイズです。
もしくは密閉できるガラス瓶もおすすめです。食器用洗剤でよく洗って乾かし、焼酎(ホワイトリカー)や食品用アルコールで拭いておきます。熱湯消毒がOKのものであれば熱湯消毒しておくといいでしょう。
「重し」はいらないよ!
梅干研究所では、重しはナシで作る方法をおすすめしています。
だって、そのほうが楽ちんで簡単、ちゃんとおいしくできるから。
手順
1)梅をざっと見て、痛みのあるもの、腐っているもの、カビが生えているものは取り除きます。
2)水洗いをします。生で食べる果物を洗うような感覚でOKです。
3)フキンやタオル等で水気を拭き取ります。タオルの上にゴロゴロ並べて拭くと楽です。
4)竹ぐしを使ってヘタを取ります。
5)容器に梅と塩を入れます。全体に塩がなじむように、容器を転がすなどします。ジップロックの場合は、2〜3回ひっくり返す感覚でOK。もまないように注意。
仕込み終了です。数時間で水分(梅酢です♪)がじんわり出てきて、しっとりとしてくるはずです。
最初の1週間は、容器を動かして梅酢と塩を全体になじませるようにしましょう。
梅酢はどんどん出てきて、1週間もすれば塩はほとんど溶けて梅全体にかぶるくらい出ていることと思います。
後は、シソを入れるまでは、このままでOKです。
もしかして失敗??気になる時はチェック!
Check! 万が一カビが生えてしまった場合
塩分量を少なくした場合など、まれにカビが生える場合があります。
最初は小さな薄い膜状のことが多いので、マメに見ていれば初期のうちに見つけることができれます。梅酢が澄んでいる状態ならカビの生えている部分だけそっと取り除きます。
カビが生えた部分に触れていた容器はホワイトリカーや焼酎(アルコール度数35%以上)でふき取っておきましょう。
Check! 梅酢がにごった場合
梅だけを取り出し、梅酢を煮沸します。梅酢が冷えたら、梅を元に戻して、後は通常通りの作業を行います。
あまりに濁っている場合は梅酢は捨てて、市販の梅酢等で漬けなおすとよいでしょう。
■7月 赤ジソを加える
赤ジソは入れなくてもOK。梅干しを赤くしたい方はぜひ入れてください。
赤ジソを入れていない梅干しは「白干し」と呼びます。
準備するもの
● 赤ジソ1束(梅1キロに対して1束程度が目安)
赤ジソが出回る時期(7月頃)になったら、赤ジソを手に入れて、作業を行います。
赤ジソを買ってしまったけれど、まだ梅から梅酢がしっかり出てないとか、これから梅を漬けるというような場合は、作業だけして、冷蔵保存しておくこともできます。ただ若干香りは落ちる可能性があります。
塩もみ済みの赤ジソも市販されていますので、時間のない方は利用されてもよいでしょう。ただし、自分で作業したものに比べると、香りなどがイマイチの可能性があります。
●ボウル、ざる
赤ジソを洗う時に使用します。
●タオル
洗濯済みの清潔なタオルをご用意ください。キッチンペーパーでもOK。
洗った赤ジソの水気を拭き取ります。
● ポリ袋
赤ジソをもむのに使います。
● 塩漬けしておいた梅の梅酢
梅から出た水分(梅酢)を使いますので、ご用意ください。
● スプーン、おたまなど。
梅酢を取り出すのに使います。おうちにあるもので。
あると便利なのは、
● サラダスピナー
サラダを作る時に水気を切る道具は、洗った赤ジソの水気を切るのに便利です。
もしお持ちの場合は使ってみてください。
なくても全く問題ないのです!
手順
1)赤ジソの葉を枝からちぎる。
2)赤ジソの葉をボウルに入れて、水で洗ってザルに上げる。
(洗ってからちぎってもOKです)
サラダスピナーを使うなら、ここで。
3)タオルで水気を取る。少しくらい水分が残っていても大丈夫。
4)赤ジソをポリ袋に入れて、梅酢を加える。おおよそ大さじ3〜4程度。
5)ポリ袋の上から手でよくもむ。袋いっぱいの赤ジソがしんなりと、おむすび1個分くらいになって、梅酢が濃いピンクに染まればOK。
6)ポリ袋の中身をすべて梅の入っている容器に移す。混ぜる必要はありません。梅の上に赤ジソを乗せておけばOKです。数日かけて、だんだん下のほうに赤ジソの色が広がっていきます。
左はシソを入れていないもの。
■ 7月 土用干し
土用干しは、やらなくてもOKですが、少しでもやると、ぐんと旨味がアップします。
できる範囲でやってみてください。
やらなくっても十分においしいけれども
(↑これは本当。知らなかったら干してないとか気づかないと思う!)
やらないよりは、容器干しを少しでもしたほうがおいしい。
容器干しに比べると、ざる干しをしたほうがさらにおいしいし、
ざる干し半日でもかなりおいしくなるけれど、
ざる干し3日間なら素晴らしくおいしくなる、
そんなイメージです。
気楽にやってみてくださいな。
●容器干しのやり方●
どのやり方でも、1日でも行えば、やらないよりは全然いいです。
できる範囲でやってみましょう。
時間がない場合、天気が気になる時、外出する場合などは、
お日様の当たる窓辺に容器のまま置く。1週間もやれば十分。
天気がとてもいい場合
ベランダなどの屋外に容器のまま置く。
昼間のみ。暗くなったら屋内へ。1週間やれば十分。
天気がとてもよくて、少し余裕のある場合
ベランダなどの屋外に容器のまま置く。フタは外し、ほこりよけにキッチンペーパーなどで覆う。
キッチンペーパーは輪ゴムやヒモでしばっておく。
昼間のみ。暗くなったら屋内へ。1週間やれば十分。
ある日は室内、ある日は外、のように併用しても、もちろんOKです。
その場合も合わせて1週間程度やれば十分です。
●ざる干しのやり方●
カラリと晴れた天気のいい日に行います。
梅雨明けした土用の日に行うといい、などと昔から言われておりますが、
現代だと、梅雨明け後に雨が続いたり、なんてこともありますので、
あまり時期は気にせず、天気のいい日、ということだけ気にしておけばOK!
できるだけ雨には当てないようにするといいでしょう。
お日様が強い時期に干したほうがいいので、できれば8月中くらいに終えるといいでしょう。
日差しが強いエリアなら9月でも大丈夫かも!
半日でも1日でもやったほうがやっぱりおいしいです。
最長3日間です。
干し過ぎてカラカラになってしまってもよろしくないので、
皮が乾いて、つまんでみた時に種から実が外れるような感覚があればもう十分です。
3日間経ってなくても、干し梅みたいになっていたら、もう干し過ぎなので、終了しましょう。
やり方は、
容器から梅を取り出して、ザルに広げます。
梅酢も日に当てたいので、梅酢は容器のまま、キッチンペーパー等でフタをして、外に出します。
ジップロックで作っている場合は、口を開けて、ゆるくヒモでしばって、外に出します。
こぼれないように、バットやボウルなどに入れておくといいかも。
朝出して、夕方には室内に入れる、のが基本です。
昼間の時間ちょっとだけ、とかもOK。
雨が降ったらお休み、室内で待機させます。
ザルに広げたまま室内で干す、というのもアリです。日の当たる場所に置くといいでしょう。
なんでもアリです!
1日干せる場合は、途中でひっくり返してあげましょう。
夕方、一度梅酢の中に戻して、また朝取り出してザルに並べる、のもふっくら仕上がるのでおすすめです。ちょいと手間ですけどね。
ちなみに、昔から言われている3日間干す、というやり方も、
細かい点は人によって、地域によって、かなり違います。
例えば
朝〜夕方だけ外に出す、
最終日だけは外で夜を越す、
夕方取り込んだ時に梅酢に戻す、朝また出して干す、
梅酢に戻すのは最初の日だけ、
2日目以降、梅酢にくぐらせてから干す、
3日間、ずっと外に出しっぱなし、雨も気にしない、
などなど…!
干し上がったら、ぜひともつまみ食いを♪
まだとってもしょっぱいけれども、お日様の味がする梅干しちゃんは、この時だけしか味わえない、特別な味。手作りするからこその味です。
ぜひお試しください。
【土用干し後、梅酢に戻すのか、戻さないのか、問題】
土用干しが終わった後、梅酢に戻したほうがいいのか、戻さないほうがいいのか、というも、
気になる問題ですが、こちらも好みです。
梅干研究所所長は両方作ってますが、梅酢に戻すほうが好きかな〜。でも戻してないのも食べたくなる時があるし、うーん、どっちもおいしい(笑)
梅酢に戻すと…ふっくら柔らかな仕上がりになります。
赤ジソを入れている場合は、色づきもとってもよくなります。
一度梅を干してから戻すことで、よりよく色づきます。
梅が硬めの場合も、梅酢に戻すことで柔らかくなります。
梅酢に戻さないと…濃縮した旨味が楽しめる仕上がりになります。
歯応えがやや残る感じですが、ふんわりした柔らかさはちゃんと残ります。
どちらにしても、土用干し後は、少なくとも2〜3ヶ月は置いて、それから食べ始めましょう。
食べてみて、まだ塩辛いようなら、もう数ヶ月置いて、それからお試しを!